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東京一極集中と主要都市の衰退

  2023年3月5日 カテゴリ:コラム


東京23区の転入超過

 コロナ禍でテレワークなどが進み、東京の一極集中緩和が期待されていましたが、昨年から再び東京23区への一極集中の動きが見られています。東京は政治と経済が集中する大都市ですが、首都直下型大地震といった自然災害リスクなどあらゆるリスクと背中合わせの都市でもあります。東京の繁栄の陰には地方の衰退があります。近年では東京以外の大都市でも衰退傾向が見られ、人口減少時代に合って衰退は地方の課題のみとは言い切れない状態になっています。

関西の人口減少が顕著

 令和3年の総務省発表の人口増減ランキングでは、ワースト5位以内に、関西の主要都市3都市がランキングしました。主要3都市とは京都市(同1位)、神戸市(同2位)、大阪市(同4位)であり、3位と5位には、北九州市、名古屋市がランキング入りしています。
 「東京には負けへん」大阪の人の威勢のいい言葉が耳に残りますが、大阪を含む関西の主要都市の人口減少、加えて名古屋市までがランキング入りする事態を見ると、衰退は国内の主要都市でもすでに始まっていることを想起させるデータです。日本はいつまで東京一極集中を許すのでしょうか。

集中の背景に政治と経済の相互依存

 世界の事例を見てみましょう。最も知られていられるのが米国でしょう。国会や行政府はワシントンD・C、経済の中心はニューヨークです。移動距離で約350km。日本でいえば東京と名古屋ぐらいでしょうか。ドイツでは政治がベルリン、経済がフランクフルト、オーストラリアでは政治がキャンベラ、経済がシドニー。オーストラリアの2都市を見れば、むしろシドニーのほうが日本人にとって知名度が高いかもしれません。
 このように政治と経済で都市機能を分化させているのは世界でも決して珍しいことではありません。なぜ日本では政治と経済の機能を東京に集中させるのでしょうか。
 背景にあるのが政治と経済の相互依存にあります。あらゆる規制で業界が守られる反面、イノベーションが起こりにくい構造的な問題を引き起こしています。政治が経済団体やその他業界団体に票を頼っている構造もあります。そこに介在していない多くの国民の意思は反映されているでしょうか。

国内の主要都市再生が急務

 東京一極集中の緩和は、今や技術的に十分可能になっています。インターネットや今後さらに進展が期待される仮想現実などを使えばもっとビジネスを自由に行える期待があります。しかしそれが進まない、むしろ逆行している原因は私たちの固定概念にあるのかもしれません。
 ただ現実的には地方の小さな村で東京のような機能を期待するにはやや無理があります。最終目標は、自分が生まれたまちで育ち、働ける環境づくりかもしれませんが、そのためにはまず周辺の都市の再生ではないでしょうか。大阪、名古屋、福岡などはもちろん、各道府県にある県庁所在地のような中核都市の再生も本気で取り組むべきだと思います。

 

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